正神崇敬会へのおたより「大空の風をひと飲み 鯉のぼり」

『大空の 風をひと飲み 鯉のぼり』

「何年か前に投句して特選となった拙句です。
風光る聖五月、若葉の美しい季節になりました。
大型連休に入り、行楽客で賑わう各地の様子が報道されておりますが、私は何処へも行かず静かに過ごそうと思います。
来年、夫の二十七回忌、母(姑)の三十三回忌を迎えますので、今年は二月から毎月二日、お寺の観音堂で写経をしています。
般若心経を百枚写し終えると、一巻の巻物にして写経堂へ納めて下さいますので、私の今生の修行の一つとして成就させようと始めました。
只今五枚出来ました。一枚(心経一枚)写すのに七十五分程費やします。
お寺で写経したものは、一回の席料五百円を納めて、お炊き上げをしていただき、我が家では書道のけいこの前に硯と筆を洗い浄めて墨をすり、一巻書きます。
百枚はなかなか大きな仕事となりますが、先のばしは出来ませんので、これが今年の一大イベントになりそうです。
お寺は遠州三山の一つであります真言宗高野山別格本山で、ご本尊は聖観世音菩薩、別名、厄除け観音で、当地ではかなり有名な霊場です。
夫が晩年、初代寺務長としてつとめましたため、縁の深いお山です。
毎回、二百三十段の石段を登り五十体程の仏様にご挨拶をしてから、写経になりますが、それが済めば、身も心もさわやかに帰って参ります。
ただ二百三十段を登りつめるまでに、四、五回止まって深呼吸して息をととのえないと登ることができなくなり、加齢の悲しさを思い知らされます。
写経は、心経を写し終えて最後に、願意を記します。
何を願ってもいいのですが、例を見ましても人間の欲望の何と果てしないものかと思います。
家内安全、交通安全、商売繁盛、無病息災、事業安全、病気平癒、安産祈願、合格祈願、開運祈願、早期良縁、必勝祈願、大漁満足……きりがありません。
笑えません。私もその一人です。
その都度、その時の気持ちの一番強いものを願意とするのですが、私は一枚目に心願成就、二枚目に厄難消除、三枚目は先祖供養、四枚目は東日本大震災被災者追悼、五枚目は先祖供養としました。
書きながら、次から次へと、際限なく湧いてくる欲望を、ある時は果たし、ある時は押さえ、ある時は悩み、死ぬまで欲にまみれて生きていくのかと唖然としました。
常々、先生がおっしゃる必ず幸せは訪れるというのは死ぬとき幸せだと思えるのか、あるいは死んだあとに、神様に赦されて、成仏することなのかと、自問自答しながらの毎日です。
私は与えられた命を全うするまでは一人で生活できるだけのエネルギーが欲しいだけで延命など考えませんが最近では、毎朝の神仏拝礼時も、今日一日の無事を願い、感謝の言葉を捧げるのみです。
最近、私の教え子第一号が掌に乗る程の布のお地蔵様六体を作って持ってきてくれました。
横並べにして毎日眺めています。一つとして同じ表情はなく、見くらべて眺めていて思わず笑ってしまいます。
癒されるのです。
来年の姑三十三回忌の供養のために母の着物の残り布で六体作って、娘である義妹に届けようかと考えております。
生きている者に施すことも仏への供養になるかと思うからです。
近況を書き綴りました。
来る五月五日の端午の節句祭は遠隔祓いをお願いしたいと存じますので、奉納金を同封致します。
よろしくお願い申し上げます。
麦が青々と広がり、ひばりの声も聞こえるようになりました。
お茶摘みの最盛期です。
周辺が活気づいてきました。浜松の凧上げ祭も五月に入るとすぐに始まります。
中田島海岸は大変な人出となることでしょう。
右、近況とお願いまで。
かしこ
笹本宗道様

T・Y」

2013年7月10日 水曜日
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