宇宙神道 正神崇敬会 正神界の神々のお働きについて

正神界の神々のお働きについて

笹本宗道著 「宇宙神道 ― 神々の救済」より引用

◇神様のお働きごとに、お名前をつけて崇めてきた日本人

本書では、比較的新しいご相談者、崇敬者の方々から古くからの会員の皆さんまで、さまざまな方が、それぞれに思い思いの体験談を寄せてくださっています(第4章参照)。運命向上、病気平癒、進学、就職、人間関係、商売繁盛、家族の諸問題の解決から霊障の浄化、不思議な現象まで、内容は多岐にわたっていますが、いずれも、神様のお導きの結果、ご守護の証にほかなりません。

では、どのようにしてそのようなお導き、ご守護をいただけるのか。この点について、ここでお話ししておきたいと思います。

古来、日本人はその現われるお働きごとに、神様にお名前をつけて崇めてまいりました。○○の命様、○○の大神様といったお名前は、あなたも神話の世界、あるいは旅先で訪ねた神社の由緒書きなどで見たり、聞いたりしたことがあるでしょう。

 

神話というと、現代人のなかには奇想天外な物語として受け止めている人も少なくないかもしれません。
しかし、こうした神様はこの自然界を調和させ、万物をよりよく生かそうとする大きな働きを司る根源的な存在であり、意志を持ったエネルギー体なのです。それは太古の時代、エネルギーといった目に見えない概念を表す言葉を持たなかった古代人が、それらを寓話的な方法で説明したものと考えることができます。

 

正神崇敬会では、こうした神様を総称して「正神(せいしん)」というとらえ方をしています。
神様には、こうした正神のほかに、八百万の神と総称される神々が無数に存在しています。それはたとえば自然神、自然霊(眷属霊・精霊)、人為神、人格神、動物霊などであり、こうした神々もエネルギー体として、それぞれに御役を果たしていらっしゃるのです。

 

一方、神様の世界には正神界の正神(善神)だけではなくて、魔神界の魔神(魔界の魔物・不思議な強い力で災いを与える悪神)がいます。邪神界の邪神(よこしまで人に災いを与える神)と、邪霊もいっぱいいますから油断はできません。

 

ここでは、根源の神々様の世界である正神界について、また正神界の各神界における神々様のお働きについて、できるだけわかりやすくお話をしていきたいと思います。

 

◇計り知れないご守護をお与え下さる十神界の神々

正神界には、浄化の御役を司る「竜神界(りゅうじんかい)」、人間の運命を司る「稲荷神界(いなりしんかい)」、命の尊厳を司る「山神界(さんじんかい)」、万霊を生み出された「火竜神界(かりゅうじんかい」、けじめの精神を司る「星神界(せいじんかい)」という五つの神界があり、この五つの神界がそれぞれ陰陽(いんよう)(男性の神・女性の神)に別れ、十神界として計り知れないほどのご守護をお与えくださっているのです。また十神界の上位には、宇宙を直接創造された国常立大御神(くにのとこたちのおおみかみ)が主管される「誠」を根源精神とする「国常立神界(くにのとこたちしんかい)」があります。

各神界の神々様は、なんらかの宗教、宗派を信仰している、いないに関わらず、それぞれの努力の積み重ねの上にご守護をくださっています。それぞれの神界における神々様のお働きがどのようなものなのか、一緒に見てまいりましょう。

また、ここではみなさんがよりよく生き、幸せに、立派になられますよう祈念し、各神界の神々様から強いご守護をいただくための心がけについてもふれていきたいと思います。

 

なお、先にお話ししたとおり、正神崇敬会はこうした日本古来の神々様と共に、宇宙根源の破格の神様をお祀りしています。

 

神々様の世界でも最上位におわす、無大御神(むのおおみかみ)、大天地明大御神(おおあめちあけのおおみかみ)の二柱の神は、『古事記』や『日本書紀』には記述がなく、昭和60年(1985)、正神崇敬会にその大御神に関するご神示が降りたことにより、はじめてその存在が明らかになった根源エネルギーの神様です。この二柱の神様については、本項の最後にお話しさせていただくことにいたしましょう。

 

なお巻末に神々の系図を掲載しました。そちらを参照しながらお読みいただくと、よりわかりやすいかと思います。

 

◇竜神界 ― 浄化の御役を司る神々の世界

浄化の御役を司る竜神界の神々(竜神様)は、私たち人間の心得ちがいによって犯した罪、業、因縁、穢れをその身に受けて立ち、ご浄化くださる、たいへん辛抱強い神様です。

その頂上には、主管神でいらっしゃる建速素盞鳴大御神(たけはやすさのうのおおみかみ)が、次いで建速素盞鳴大御神の直の御分霊で、建速素盞鳴大御神とほぼ同格の海渡辺皇神(うみわたりべのすめがみ)、大国主大御神(おおくにぬしのおおみかみ)、大物主大御神(おおものぬしのおおみかみ)、住吉大御神(すみよしのおおみかみ)、祓戸神々(はらいどのかみがみ)の座があり、次いで皇臣神界(すめのおみしんかい)が開かれています。次いで臣神神界(おみがみしんかい)、さらにその下には竜神眷属霊界があり、私たち一人ひとりを浄化、ご守護くださっているのです。同様に動物も植物も、竜神様のご守護をいただき、この世に生かさせていただいているのです。

竜神界を主管とする建速素盞鳴大御神は、自然界の大気、海や河川のことごとくを司る、調和、調整のお働きに優れた神様です。

 

自然界の大気、オゾン層、雲、雨、井戸、河川、湖沼、海洋をご守護くださる竜神様は、一般の人間をご守護くださる竜神眷属守護神よりも一段上位の、神格の高い、臣神以上の神がお働きくださっています。

 

太陽や水、森林、大地など自然の恵みのおかげのなかで生かさせていただいている私たちです。竜神様のご守護なしに、自分一人の力では生きていくことは、たとえ一日、一夜であろうともあり得ないのは明らかでしょう。
いま、こうしてここにある私たちに命をつないでくださったご先祖様も、同じように自然のおかげのなかで生かさせていただいたのです。さらにご先祖様は、霊界をご守護くださる竜神様のおかげをいただいて霊格向上の修行に励まれ、私たち子孫をお守りくださっているのです。

 

私たち人間の精神や肉体にとどまらず、霊界の祖先、そして自然界を御浄化くださる竜神界の上段レベルの神々は、各神界の上段レベルの神が犯された失敗、過ちの浄化修正をもなさられていらっしゃいます。とりわけ、竜神界の頂点にいらっしゃる建速素盞鳴大御神様は宇宙の浄化・霊界・現界の浄化という大きな、大きな調和を保ってくださっているのです。

 

正神界の神々の目的が創造であるなら、宇宙が誕生して間もないころ、正神に付随してできたのが破壊を司る魔神界です。光は影があるからこそ成り立ち、生は死があるからこそ、プラスはマイナスがあって成立するように、背中合わせの存在があってはじめて双方が存在する(片方だけでは存在できない)というのが自然界の法則です。

 

魔神界が実行した宇宙の大規模な破壊には、建速素盞鳴大御神自らが、その浄化・修復にあたられます。そして自然界の大規模な破壊には、二段目の神々の主導のもと、配下の竜神様が一丸となってお働きくださっているのです。たとえば過去の巨大隕石による地球上の破壊の浄化、原爆や原発の放射能に対する浄化、さらに閾値(限界値)を超えようとしている世界中の環境汚染の浄化は、二段目の竜神様方のおかげで保たれているのです。

 

竜神様のご守護は、外なる宇宙にとどまらず、内なる宇宙にも及んでいます。すなわち血液やリンパ液の流れ、自立神経系のあらゆる働きといったものをご守護くださっています。生命系の自然治癒力も竜神様のご守護のおかげなのです。

 

健康を維持するためには、竜神様のご守護・浄化のパワーを安定していただき得る精神修養と、正しい信仰が不可欠です。また、病気や災難、不測の事態を乗り越えるにも、竜神様のご守護(宇宙の浄化パワー)をいただいてこそです。

 

竜神様のご守護を強くいただくための心がけは、清らかな勇気と清らかな胆力を磨き、高めていくことにあります。

 

◇稲荷神界 ― 人間の運命を司る神々の世界

宇宙の創造主である国常立大御神の直の分霊(わけみたま)である佐田彦大御神(さだひこのおおみかみ)様が主管するのが稲荷神界です。

分霊とは、直に姿をお見せになることのないおそれ多い神が物質界でもお働きになるとき、神のエネルギーをいくつもに分け、別の神々のお働き(お姿)として現われてくるエネルギー体を指しています。ときに、あちこちの土地で同時にお働きになられるためにエネルギーをいくつにも分けて多くの神々にお姿を変えることもあります。

さて、稲荷神界には多くの神々がおいでになりますが、陸地から海底までカバーし、作物や植物の育成、商工業をはじめとして、人間の生活に密着した部分に大いなるエネルギーを与えてくださっているのが稲荷神界の神々様です。

 

同時に、稲荷神界の神々様は私たち人間の運命をご守護、お導きくださるありがたい神々様でもあります。
よりよい生き方、幸せへとお導きくださる稲荷神界より強くご守護をいただく心がけについて簡潔に申し上げるなら、私たち一人ひとりが迷いを乗り越え、健全な精神を芯に、健全な生き方をすること、それしかありません。具体的にどのようなことを心がけ、いかなる行いを実践していくことであるのか、以下にまとめてみましょう。

 

1.親しみと礼節の心を磨いて、その親しみと礼節の心を形に現しつづけること。
親しんでも相手に敬意を失わず、畏れても相手に親しみを失わず、愛しても相手の欠点を認め、憎んでも相手の長所を認める ― そのように在ろうと努めることです。

 

人は一人では生きられません。さまざまな人間関係のなかで磨かれ、生かしていただいているのです。
周りの人が自分をわかってくれない、といった他者への理解を求める態度ではなく、あなた自身が自分を甘やかすことなく、理想に近づくことです。言葉を選んで立派に語り、立派に行動しつづけることです。これからの人生でこのことを心がけ、終始一貫して実践していくか、中途半端にしてしまうかによって、いただける答えにも明白なちがいが出ざるを得ません。

 

2.気配りができて、気が利くこと。その元となる、他者への思いやりと真心を磨き高め、実践すること。
縁者やお客様のお役に立たさせていただくこと、喜んでいただけること。そのためにはお役に忠実であること。お役に忠実に、気が利くほどに、自然に広がりが出てくるものです。これは目標の利益を達成せんと人間が頭で計算して行動に移すこととはまったく別物です。真心から発した自然体のうちにこそ、安定・好循環のおかげをいただけるのです。与えられた役に使命感を持つことです。

 

どなたにも試練はめぐってくるものですが、信念を持って正面から受け止め、乗り越えていくほどにあなたの霊格が高まります。霊格が向上すればするほど、あまりお願いしなくても、稲荷神様から自然に運命のご守護強化をいただけるようになるものです。それは霊格の向上に伴い、それにふさわしい強く、立派な稲荷守護神がご守護、お導きをくださるようになるからです。

 

他者への思いやり、真心を磨き高めていくほどに人としての器も大きく、揺るぎないものへと成長してゆきます。同時に感覚が磨かれ、新しいアイデアの閃きをいただけたり、身に迫る危険や不測の事態も事前にキャッチできるようになります。大難は小難に、小難はよけて通れるようになるのです。また、仮に問題にぶつかったとしても、そこから生きた学びとして、その経験を生かしていけるようになります。

 

◇山神界 ― 万霊万物の尊厳を映す山神の世界

山という山の頂上や磐座(いわくら)、樹齢何百年、何千年の神木といわれるような木には、必ず山神様がお鎮まりになられています。山神様は日本にとどまらず、世界中の山々にお鎮まりになり、お働きくださっているのです。

威風堂々と聳え立つ山々、雪の衣をまとって銀色に輝く姿、赤富士の神々しい姿を仰ぎ見るときの感動。そのときあなたは、山神様のご神徳を、意識の深いところでお感じになられているのです。

汗を流し、一歩また一歩と踏みしめて山の頂に登りつめると、達成感を味わうことができます。天に近づき、地上を見下ろすと、えもいわれぬ清々しさ、感動を覚えるものです。そのときあなたは、山神様のご神徳の片鱗を感じていらっしゃるのです。

 

自然界に君臨する山と、そこに鎮まって静かに語らず手本を見せてくださる山神様は、創造の神に連なる万霊万物の尊厳をお映しなさられています。

 

穢れた山神臣神、穢れた山神眷属霊に憑依されている人は、威張り屋の天狗さんですから、だれが見てもすぐにわかります。「オレがオレが」、「私が私が」という自己主張、我の虫が騒いでいるのが傍目にわかるものです。そうした人の精神は、社会的地位や肩書き、経済力などとは関係なく、未熟で幼稚です。

 

一方、正神界の山神様は、どっしりと泰然自若の構えで座っておられます。ですから、ちょっと見の外見からは、それとはわかりません。たとえば腰が低く、気が利き、フットワークも軽くよく働く人が、同時に位の高い山神様のご守護をいただいている場合、浅い人間の考えでは、なかなか推し量ることはできないものです。

 

山は、樹木や草花、苔、そこの棲む鳥や獣、昆虫といった生命に命の尊厳を与えて育み、草木は山の尊厳に身を尽くして根を張り支えています。そこには自然と命、神と霊とが、互いの尊厳を尊んで生かし合う姿が感得できます。

 

山神様から強くご守護いただくための心がまえは、うわべだけのちっぽけなプライドに惑わされず、自身の真の尊厳と同時に、万人万霊に宿る尊厳に深く気づき、謙虚さ、強さ、寛容さを磨き高めることです。

 

◇火竜神界 ― 万霊を生み出され、愛のエネルギーを与えてくださる神々の世界

万人をあまねく平等に、慈愛の御心でお照らしになる天照大御神(あまてらすおおみかみ)(太陽)と、万霊を生み出され、育んでくださる月読大御神(つくゆみのおおみかみ)が、火竜神界の陽の女神神界と、陰の男神神界を主管しています。

天照大御神の太陽エネルギーのおかげで宇宙が明るく照らされ、地球上の生物の体が生かされています。そして月読大御神の霊力をいただいて万霊が生み出され、育まれているのです。

また月読大御神は宇宙空間と夜の陰の領域を司っていらっしゃり、私たちが眠っているあいだに、肉体にエネルギーを働きかけ、神気を充電してくださっています。ですから、夜、睡眠を十分にとると翌朝は充実した気分で元気に考え、活動することができるのです。

 

天照大御神は愛のエネルギーで全宇宙を照らす統治神であり、ある段階までは、愛のエネルギーを放出するほどに核融合のエネルギーが補給しつづけられます。私たち人間から見れば、それは無尽蔵と言っても過言ではありません。

 

火竜神界のご守護強化のための心がけは、古神道で教えている赤き心、つまり明るい、温かい心づくりに励み、実践することにほかなりません。

 

◇星神界 ― けじめの精神を司る神々の世界

星神界を主管されているのは、けじめの精神を司っていらっしゃる菊理比売大御神(くくりひめのおおみかみ)です。

満天に光り輝く光星が集って銀河、星雲、星団を構成しています。天照大御神(太陽系の太陽だけでなく、じつは全宇宙の光星のことごとくが天照大御神である)が集られて、独自の星神界を築かれ、私たちの精神の根源領域である意志と善悪・正邪を判断する脳の一番深いところに投射されて、お働きくださいます。

清らかな自然環境から離れ、欲望の渦巻く都会では、街の灯りや汚れた大気ゆえに夜空の星々が見えにくくなるように、油断するとつい心に曇りが生じて、星神界からのご守護が低下しかねません。

 

星神界のご守護を強くするための心がけは、崇高なる意志力、けじめを磨き高めることです。それに伴い、お願いしなくても自然にご守護が強化されてゆきます。

 

ロマンチックな感動もまた、星神界によってもたらされる高等精神です。

 

◇国常立神界 ― 「誠」を根源精神とする神界

ここまでお話してきた五つの神界(それぞれが陰陽に分かれて「十神界」となる)の上に国常立神界があります。国常立神界は、宇宙の創造主である国常立大御神が主管される世界で、その根源精神は「誠」にあります。
神道では「誠」、キリスト教では「愛」(アガペー)、仏教では「慈悲」として、国常立大御神がお働きくださっているのです。

誠(誠心)を磨き高め、実践するほどに、創造神界のリーダー的なエネルギーである国常立大御神にお認めいただけるようになられ、この世が天国に近づくのです。

国常立大御神は宇宙の創造を司る天之御中主大御神(あめのみなかぬしのおおみかみ)の直の分霊であり、平成元年(1989)5月5日、正神崇敬会に「皆が幸せでありますように」という神示を送ってこられた神様でもあります。

 

正神(宇宙の真理)に心を合わせて、皆が幸せでありますように。

 

◇明らかにされた破格の神、無大御神様

ここまでは、正神界のなかでも、十神界という視点から神々様についてお話ししてまいりました。

そこで、本項では、先にふれた、宇宙根源の破格の神である無大御神(むのおおみかみ)、大天地明大御神(おおあめちあけのおおみかみ)という二柱(ふたはしら)の神様についてお話しさせていただくことにしましょう。

太古の時代、私たちの祖先は自然界を司る神々様の頂点に立つバランスエネルギー体を、天之御中主大御神とお呼びして崇めてまいりました。しかし、昭和60年(1985)、正神崇敬会にご神示が降り、天之御中主大御神というバランスエネルギーの先に、あと二つ、根元神の世界が存在していることが明らかになりました。
その第一が無大御神であり、宇宙の根元中の根元、最高位の絶対神です。それは無の世界であり、宇宙は、その無の状態からはじまったのです。

 

正神崇敬会においてはじめて解明できたもう一柱の神は、大天地明大御神です。こちらは宇宙の創意・開闢神です。無大御神が宇宙を創成しようと、一歩前へ出て行動を起こすべく変化(へんげ)したお働きが、大天地明大御神なのです。無の空間は、それ自体ではいつまでたっても静止したままです。そこに揺らぎを起こさせよう、動きを与えてやろうという意志を持った、スターターのようなお働きをなさるのが大天地明大御神なのです。

 

大天地明大御神は天地創造という方向性(意志)を持ったエネルギー体です。大天地明大御神がビッグバンを起こして宇宙を開闢されたのです。そしてこの神様のあと、天之御中主大御神へとつながってゆくのです。

 

大天地明大御神からあとの神々は、すべてがそれぞれに役割意識、意志を持ったエネルギー体です。それは先にお話しした、各神界におわす神々様のお働きをふり返っていただければ、ご理解をいただけることと思います。

 

◇魔界のエネルギーを運命向上のために生かすか否かは私たちしだい

先に、正神界の神々様がどのようなお働きをなさり、私たちを生かしてくださっているのかについてお話しいたしました。

創造を司る正神のあるところには、必ず背中合わせのように破壊を司る魔も潜んでいるものです。光と影、月と太陽、生と死、プラスとマイナスがあるように、バランスというものは、互いにまったく反対の存在があってこそ成り立つものだからです。創造と破壊が絶えずくり返され、常に変化していくことは自然界の大法則なのです。

そこで、魔とはどのようなものかについても、みなさんにお話ししておきたいと思います。正神界と魔界、双方を知ることにより、日々、どのような心がけで過ごすことが幸せにつながるのか、よりご理解を深めていただけるものと思います。

 

魔界は、物事が順調にいって人が有頂天になっているとき、欲望に目がくらんでいるとき、自分さえよければというエゴに走っているとき、その心の隙を突くようにかかってきて、急転直下、不運や不幸に引きずり込むのです。
魔は、宇宙が誕生して間もないころ、正神に付随してできました。ですからエネルギーがとても強く、ふつうの人間の意志で抑え込むことはむずかしいのです。

 

魔界の最終目的は、正神界の「創造」に対し、「消滅」にあります。

 

それなら、神が全存在を賭けて魔界を消滅させられないものなのだろうか、そう思うかもしれませんが、「消滅」がなくなれば宇宙の進歩、発展が滞ってしまいます。

 

身近な例でいえば、六本木の新しいランドマークとなった東京ミッドタウンや六本木ヒルズ、東京駅周辺のランドマークである丸ビルや新丸ビルなどは、いずれもその土地にあった建物、いくつものビルや施設を取り壊し、再開発という形で誕生しています。このように、新しい創造発展には、破壊がなければならないわけです。

 

私たちの人生の発展向上ということでいえば、一つ目の目標をクリアしたとき、人は、さらにそれ以上のものを求めるようになります。そこには必ず魔がかかってきます。それにつれてトラブルや不都合(試練)が生じてきます。それらを踏み越え、さらに一段上へとステップアップしようと一心に努力するとき、神様はお力(創造エネルギー)をお授けくださり、私たちは魔の力を乗り越え、人生の次のステージへと上がってゆくのです。こうすることで、人は少しずつ器を大きくしてゆくのです。

 

頑張れば克服できるように、魔界のエネルギーは、正神界のそれより5パーセント低くなっています。
私たちが努力し、目標に向かって一心に集中するとき、正神界の100パーセントのエネルギーが助けの綱となってスルスルと降ろされ、95パーセントの魔界エネルギーを克服できるのです。

 

このように、魔界エネルギーは私たちがそれに正しく立ち向かうとき、向上をもたらしてくれるものでもあります。
ただし、私たちがそのエネルギーに真正面からぶつかろうとする努力を放棄した時には、魔界のエネルギーにつけこまれ、谷底へ落とされてしまうのです。

 

魔界のエネルギーは、その人の生きる姿勢や心の持ちようによって、向上のエネルギーにも、下降のエネルギーにもなり得るわけです。

 

狭義には過酷な妨害ととれる魔界の働きも、広義では国常立大御神がお許し給うた魂向上のための試練(神鍛(かむきた)え)であるとご理解ください。

 

よりよい運命を切り拓くか否かは、まず本人の努力ありきです。ギリギリから先の努力があってはじめて、神様は魔界のエネルギーに打ち勝つだけのお力をお授けくださるのです。

 

◇現界と霊界 ― 私たちは神我合一を目指してあの世でも魂を磨きつづける

あの世、と聞いてあなたはどんな世界を想像されるでしょうか。

仏教の世界の認識からすれば、あの世とは一見、極楽浄土、この上ない世界のように思えるわけですが、それは現界と比べたときの相対的な事実にすぎません。

この世(三次元)での修行を終え、霊界(四次元)へと上がられた霊人の幽体には、一定の因縁が解消されずに残っています。霊界は十層のランクで構成された精妙な波動の世界であり、霊人たちはそれぞれの想念(波動)のレベルに合った階層に導かれ、そこで修行をされるのです。

 

霊人の世界は肉体を持たない波動の世界ですから、各々の想念はすべて明け透け、したがって霊位も一目瞭然です。ウソやごまかしが利かないだけに、修行は霊界ゆえの厳しさが伴うものです。

 

いっそ死んで楽になりたい、などと思い詰めてこの世の修行を放棄したとしても、あの世にはあの世の修行が待っています。楽になるどころか、霊界のどん底、真っ暗な地獄へ行くこと確実です。自殺は神への不敬とならぶ二大最凶因縁なのです。

 

私たちはどんな状況であれ、「生き抜くために生まれてきた」「生き抜くことそのものが『善』なのだ」ということを心に留めておいていただきたいと思います。

 

霊界での修行は、この世に生きていたときの数倍の年月(約350~400年程度)をかけて行われてきましたが、その後200年弱にまで短縮されてきています。

 

霊界での修行が進んで魂の純化向上を神様に認めていただければ、霊人はより上位の世界へと上がられ、再生がなされることはありません。反対に、「おまえさんは修行が足りないようだから、もう一度、地球で再修行してきなさい」と審判をくだされますと、この世にオギャーと生まれ落ちることになるわけです。

 

この世に再生してきた魂の多くは、霊界の下から三番目までの階層(霊界一位から三位)で修行していた魂、もしくは幽界での暗く厳しい修行の年期が明けて出てきた魂のいずれかです。

 

その一方、紛争や環境汚染などによる地球の破滅を止め、人びとの霊性を向上させるべく神の特命を受けて誕生してこられた高徳の魂が、20世紀の終わりから今日まで、世界中に大勢出現しています。これは人類史上、見られなかった特筆すべき現象です。

 

さて、霊界で幽体レベルの修行を終えた魂は、やがて人格神界へと上がってゆかれます。そこでの果たしとは、霊体と分霊の境界線付近に付着している魔の厳格な管理統御にあります。こうして人格神界での修行を終えると、魂はさらに上方の神界(五次元)へと昇ってゆかれます。

 

神界では、善悪、正邪の区別がない広大な宇宙の法則性へと魂の解放がなされます。別の言葉でいえば、高次元宇宙と自己との融合ということになります。融合と同時に、立派に磨かれた魂の個性は生き生きと存在しつづけるのです。

 

三次元の世界に修行にきている私たちは、この宇宙即我、神我合一、万霊同根の境地を会得し、体現するまで、国常立大御神様の御心にかなったことにはならないのです。

 

今生のあなたがどう生きるか、どう生きたかによって、未来のあなたがどこへ、どんな立場で生まれてくるかが決まるのです。つまり今生のうちに、あなたの過去、現在、そして未来までもが含まれているということです。
だからこそ、いま現在の生き方が大切です。

 

あなたの人生を拓く鍵は、過去や未来、どこか遠い世界の神様ではなく、あなた自身が握っています。どんな過去のマイナスも、今生あなたの生き方で果たしをすることができますし、次の誕生の姿も決定されるのです。

 

あなたの魂が今生で高い霊性を得たとしたら、その向上のレベルによっては、もうこの世に生まれ変わってくる必要がなくなるかもしれません。この世で修行する必要がなくなったとき、神界へ帰ること(これを「帰神」といいます)が許されるのです。

 

幽・魔・霊・神という四界のエネルギーがダイナミックに投影され、喜びと憂い、矛盾に満ちたこの現界で、みなさま一人ひとりが誠の修行を果たされますように。

 

神々の系図

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