東京都・祖母霊憑依による<リウマチ、その他の痛み>の婦人の霊障解消例 正神崇敬会(実例55)

昭和56年11月中旬のこと、T市に住むAH子さん(39才)が妹さんと一緒に来訪されました。私の近所に住む知人からの紹介ということで、昼間の仕事に支障がないようにとの配慮から態々この夕刻を選んでのお越しでした。
H子さんの話を伺いますと、もう15年も前から手のリウマチに悩まされているということでした。病院にもずっと通っているのですが、右腕から指先にかけて痛みが消えず、家事にも大変難渋しているというのです。家の中の整理整頓も思う様にゆかず、重いものは一切動かせない状態だということでした。
現在はパンの販売店に勤めているというのですが、レジのキーをゆっくりと打つにも痛みが走り、加減しながらゆっくりと押さねばならない程だというのです。お客様相手の仕事でもありますので辛い表情を現わすこともできず大変苦しいということでした。
リウマチの他にも、慢性の頭痛があり、肩こりも続いており、足首の痛みもあり、かなりの冷え症に悩まされていることもあるとの由でした。ただ、その中でリウマチの痛みが特に強いので、とりあえずはこの痛みをとり去って頂きたいというのです。
同行してきた妹さんも傍から口をはさんで、姉さんの痛みはそばでみていても可愛想な状態で、ご主人が大変理解があるために助かっていると話されました。そして、姉の痛みが見ておられぬので、偶々知りあいになった人から紹介をうけて、自分の子供さんの別件相談とあわせて引張ってきたというのです。
H子さんは39才だというのに、一見した感じでは5~6才もふけて見えました。長年の痛みのせいか丸顔の童顔の中にもやつれが見え、前かがみに座った感じは老婆の姿を連想させるものがありました。
ここで私は先祖様にかかわる事実の概略を伺いました。亡くなった父のこと、祖父のこと、祖母のこと、特に死亡時の年令、亡くなった時の状況をできるだけ詳しく聴取しました。このような予備知識を得ておくことが、次の霊査や治療の上に大変重要なことになるからです。
H子さんの身体にでているリウマチや他の諸々の症状は年老いて亡くなった人霊に一般的な兆候でありますから、私は心中に軽卒な予断を警戒しながらも一つの当りをつけたのでありました。
さて、ここからH子さんに若干の注意を与えて正座して頂き、神霊に祈念の上で霊査に入りました。神前に坐すること数分、H子さんの合掌した手がかすかに震えはじめ、その震動は次第に大きくなってゆきました。瞼のまたたきも激しくなってきました。「浮霊現象」がでてきたのです。傍の妹さんはこわいものでも見るように、聠か驚き気味の表情で姉H子さんの様子をまんじりともせず注視しておりました。
私は頃合を見はからって、H子さんに浮霊している霊に向って問いかけました。「H子さんにでているご霊様はH子さんのご先祖様ですか?」と。すると、H子さんの手の震えが急速に高まり、それとともに大粒の涙が眼から溢れでて頬を流れ、坐っているスカートの膝の上にしたたり落ちたのです。そして、押しつぶす様なすすり泣きの声をあげたのでした。
私はこの様子をみながら、先ほど聴取した事項を参照しながら次の質問を発しました。「あなたは女性の方ですか?」と。すると、眼前のH子さんに現われた霊はH子さんの体を通して大きくうなずいたのです。続いて次の質問をしました。「あなたはH子さんのS祖母さんではありませんか?」と問う。そのH子さんに現われた霊は一声大きな声をあげてすすり泣きながら、何度も何度もうなずき続けたのでありました。
さらに私は質ねました。「H子さんの身体のリウマチはあなたの痛みがでているのですか?」と。S祖母霊はうなずきました。続けて、「H子さんの他の痛み、頭痛や肩こりや足首の痛みもS祖母さんの痛みですか?」と質ねました。S霊はこの問にも繰り返しうなずいたのでした。
H子さんにでていた症状は、H子さんの祖母で88才で亡くなったS霊の痛みそのものであったのです。S霊は他界してあの世へゆきましたが、亡くなったときの身体の痛みを持ちこしたまま、30年余りの年月を経た今日まで、孫娘に憑依して苦しみを訴え続けていたのでした。
世間には先祖が子孫を苦しめることがある筈はないという主張や見解もありますが、苦しんで亡くなった先祖霊は、子孫に頼って憑依し、救いを求めているものなのです。これは積極的に子孫を害しようという意図ではなく、耐え難い悩み苦しみを判ってもらいたいという、切ない願いによるものです。意識的な加害行為と考えてはいけません。
霊査によってH子さんのリウマチやその他の身体症状を起こしている因縁霊が祖母のS霊であることが判り、率直に原因が明瞭になりましたので、ここから治療に入ったのであります。
H子さんの治療、つまりS霊の治療は五回に亘って実施しました。この経過について回を追って状況を述べてみましょう。

第一回の治療は霊査のあと引き続いておこないました。H子さんの痛みの訴えに従って、頭部、肩、背中、腕と順次浄めをおこないました。浄めに伴って、各部の痛みの程度が逐次軽くなってゆくということで、一時間余りの治療のあとでH子さんは上半身が楽になったことを訴えられました。

第二回目の治療は翌々日におこないましたが、その日の朝9時過ぎ、H子さんの妹さんから急に電話がかかってきて、姉のH子さんの様子が少しおかしいのでこれから早速お伺いしたいというのでした。早速つれてきて頂くよう返事しました。
暫くして妹さんと、近所のご主人に伴われたH子さんが現われました。一見しますとそれと判る浮霊現象がでていました。手を硬直させて涙を流しながらつれてこられたのでした。妹さんは姉H子さんの上に現われた不可怪な現象に大変心配そうな表情でした。
私は、「やあ、S霊さんでてきましたね。我慢できなかったんだね。驚かしちゃぁいけませんよ。急ぐ気持ちはわかりますけどね」。とH子さんに現われているS霊に声をかけ、次いで、妹さんに向い、「心配ありませんよ。よくある例ですから。すぐ元通りになりますから安心して下さい」。こういってH子さんを部屋へ誘導したのです。
H子さんを横に寝かせて落着かせました。妹さんはほっとした表情で、「本当にびっくりしました。一時はどうなることかと戸惑いました。姉の主人が勤めにでかけたあと、姉から電話があって自分の状態がおかしいので至急来てほしいとのことでした。駆けつけてみると姉がポロポロ涙を流しながら手を曲げていたので驚きました。これが浮霊現象というんですか?」といいました。
こうして第二回目の治療をおこないました。痛みの個所である手を中心に、他の慢性痛をもつ頭、肩、足首も丹念に浄めました。一時間余りの治療のあとH子さんは曲がっていた右手も自由になり、他の部分の痛みもやわらいできたとの由でありました。
先程までの苦痛の様子とは打って変り、帰り際には自分の先刻の状態を恥じらうかのように、「あんな様子をみて、皆さんは気が変になったと思ったのではないでしょうか?」と申され、しかし快活に笑うのでした。妹さんも大変安心しました。
H子さんは自宅での浮霊現象というものを体験したのでした。それは非常にドラマティックにでてきた現象でありますが、このような浮霊現象が地味な形で継続的にでている状態が霊障の症状であるという説明に、よく判りましたと答えました。神霊治療では体験することが何よりも理解を深めることになるのです。一つの体験は百のお話にも勝るものであります。

それから四日後に第三回目の治療をおこないました。この時は治療中に今まで痛みのなかった手に痛みがでてきました。さらに両足全体にも痛みがでてきました。治療を進めてゆくに従い悪寒を訴え震えが出ました。H子さん本人も同伴の妹さんも前回とは違った状態に直面しましたが、私の説明を聞きながら比較的冷静に治療をうけました。初めて一緒に同伴されたH子さんのご主人は技術家らしい冷静な眼と、愛妻を想う肉身のまなざしでじっと観察しておられました。
妹さんは三回目の治療観察で慣れてきたこともあって時折的確な質問をするようになりました。そして心霊世界のことについて次第に知識と理解を深めてゆきました。H子さんが悪寒に震えている状態をみた妹さんは、すかさず、「これは寒い地獄にいる状態ですか?」と質ねるのです。非常に物判りの良い方でした。
治療を進めてゆくに従い、でてきた痛みは徐々に引きはじめ、寒気も消えてH子さんは逆に暖かくなってきたことを告げました。そして、今日治療をはじめる時と比べて身体がずっと軽くなったといわれました。ここで第三回目の治療を終わりました。

第四回目の治療は翌日おこないました。今回の治療では腕の痛みの感覚がほとんど消失して、身体が安定して参りました。前回の様な悪寒は起こらず平穏に治療が終了したのです。

第五回目の治療は一日おいて翌々日におこないました。症状を伺いますと肩、腕、足首、背骨に淡い痛みが残っている位との由でありましたので、これらの部分を浄めましたところ、かゆみの感覚に変ってやがて消失してゆきました。一時間余りの浄めが終る頃は今迄残っていた淡い痛みもすっかりとれて身体が軽くなったとのことでした。
なお昨日、つまり第四回目の治療をおこなった翌日、急に室内の整理をしたい気持ちになり、15年も持ったことのない大き目のTVを、今迄置いてあった部屋のコーナーから対角のコーナーへ独力で移動させたとのことでした。文字を書くにさえ痛みが走ったのに、TVを動かしても痛みがなかったということはH子さんにとっては驚くべきことであったというのです。

かくして、H子さんのリウマチ及び、その他の症状は五回の治療で消失しました。H子さんに憑依していた祖母のS霊様には治療の都度挨拶して霊の側の感覚を質ねて参りましたが、幽体の痛みは徐々に消失してゆき、第五回目の治療後は痛みが完全になくなったとの由でした。こうしてS霊さんは長年の苦悩から解放されて、成仏へと向ったのです。

それから一週間ほどたった日の夕刻、H子さん一家、妹さん一家の方々が打揃って来訪されました。私宅の玄関先ににぎやかな声が聞こえてブザーが鳴る。ドアーを開けると明るい表情でにこやかな皆さんの顔が並んでいました。H子さんが長年のリュウマチその他の症状を克服できた嬉しさに、改めてお礼に参上して下さったのでした。
神通霊能者笹本宗園著 「霊障からの救い」より引用

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